木の家の良さ

「木の家」とひとくちに言っても、本物の木を使っているか、合板や集成材といった新建材・化学物質で作られた「木質材料」を使っているかで、大きく違ってきます。
ここでは、本物の木を使った「木の家」の良さを紹介しましょう。

01
木は温かい

木には優れた断熱性能と蓄熱性能があります。使う木にボリュームを持たせればこの効果は更に高くなります。夏は外部からの熱を遮断し、冬は暖房の暖かさを木が蓄えて温かさが持続します。試しに、無垢材と他の素材(コンクリート等)をじかに触って比べてみてください。温かさ、冷たさの違いがすぐにわかるかと思います。

住む人にとっても、やさしいのが「木の家」なのです。

02
木はストレス軽減の効果がある

木の香り、特に青森ヒバ、ヒノキ、杉といった材の香りには、人の精神をリラックスさせる効果があります。これら木の香りの成分には、人の血圧を下げ、脈拍を安定させ、ストレスを軽減する効果があります。これは大学の実験でも明らかになった事です。暮らしの中に、住まいに木を使う事で、これらの効果を得ることができます。

また、木の見た目も、人の心をリラックスさせる事が知られています。山から切り出したばかりの色鮮やかな木も、年月の経過と共に落ち着いた色合いになり、風格が出てきます。見た目の他、有害な紫外線を吸収するなどの効果もあります。

木の香りを嗅いだり、見たりすると落ち着くのは「気のせい」ではなく実際に効果がある事なのです。

03
木は「呼吸する」

動物の様に「肺」を持っているわけではありませんが、木は「呼吸する」と言ってもよいでしょう。それはどういう事かと言うと、木には室内の湿度を調節する機能があるのです。

湿度が高ければそれを吸ってくれるし、乾燥していれば木の中の水分を適度に吐き出してくれます。緩やかな調湿効果が、天然乾燥の木には有ります。この現象を我々は「木は呼吸する」と言います。緩やかな調湿効果のお陰で、夏の蒸し暑い時期には木が湿気を吸い、室内は湿度が下がり過ごしやすくなります。また冬の乾燥した時期は木が水分を吐き出してくれるので、外に比べて潤いがあります。この効果が緩やかに続くので、人にとってもやさしいのです。

04
木には防虫効果、防腐効果がある

ヒノキや杉には、防虫・防腐の効果があると言われており、特に耐久性の求められる建築用材として昔から使われてきました。これには諸説ありますが、古来より先人達がさまざまな木を使い試行錯誤を経て、「この木なら長持ちする」と経験と実績で選び抜いたのがヒノキや杉と言った木なのです。

下北半島や津軽半島に広く分布する青森ヒバは、昔から虫よけになるといわれてきました。
青森県工業試験場が研究を進めた結果、ヒバの成分にヒノキチオールという物質が含まれ、カビやダニ、シロアリ、ゴキブリを寄せつけない抗菌、防虫効果を持っていることがわかったのです。そこに着目して、内装にヒバ材を使ったり、おがくずをシート状にして「ヒバ畳」を作ったメーカーもあります。

カーペットの床を楢などの無垢のフローリングに改装したところ、ダニが減少したという結果も出ています。木の香りにダニを寄せ付けない効果があるのです。

また、シロアリが好むまたは嫌う木はどれか、それぞれの木材を実際に食べさせて実験した例もあります。結果は、現在の木造住宅に多用されている外国産材が真っ先に食べられ、ヒノキや杉と言った日本伝統の建材として使われている木は他と比べて食われにくかったのです。

無垢のヒノキ材には防蟻材を塗らなくても良い、と言う法律もあるように、ヒノキはシロアリにも強い素材です。人にやさしく、シロアリにきびしい。それが無垢のヒノキや杉、青森ヒバといった木材なのです。

また木材は同じ樹種なら皆同じ材だと思っていませんか? 画像の通り、同じヒノキでも、育ち方により同じ太さでも中身に違いが出てきます。
つまり木の樹齢により、木の持つさまざまな効果も違いが出てきます。

材木屋の立場から言うなら「木の価値は樹齢」です。樹齢の若い木では建材としてはまだまだ未熟です。ある程度年を取った木でないと、建材としてはよくないです。
このヒノキ角材の画像で言うなら、左のようにじっくり育って目の詰まった(年輪の多い)方が良いヒノキです。

年を取った木(最低でも樹齢80年以上)は木自身の「あぶら」を多く含みます。あぶらが多いと香りも強く、腐りにくく、虫にも強く、粘り強さもあり、これらさまざまな「強さ」が若い木と違いが出てきます。若い木(樹齢50年位まで)は人間で言うなら「若者」であり働き盛りの年頃にあたり、「木」としての成長により森林環境の活性化や二酸化炭素削減等では大いに貢献してくれます。ですが「木材」としてはまだまだ未熟です。ある程度樹齢の高い木(最低でも樹齢80年以上)になると、木材としても優秀なものとなります。木は人間と違い、年老いてからの方が、価値があるのです。

「古民家」といわれる建物には、樹齢100年以上の材木が使われている事がほとんどだと思います。それだけ昔の人は木の価値を知っていたと言えます。
値段だけにとらわれず、材木は実際に現物を見て確かめる事も大事です。

05
木は燃えにくい

意外と思われるかもしれませんが、「木は燃えにくい」のです。
確かに表面だけ、細い枝葉ならぱっと燃えてしまいますが、太いしっかりした無垢材なら、芯まで燃え尽きるのに3日はかかります。
表面が着火してもやがて燃えた部分に「炭化層」ができ、それが断熱層の役割を果たし、燃焼の進行を遅らせるのです。

住宅の火災で一番恐いのは、プラスチックやビニールなどの化学製品から発生する有毒ガスです。火よりも煙が恐いのです。
鉄は強いかわりに、熱を加えると短時間で温度が上がり、変形し、崩れます。2001年にアメリカで起きた航空機テロでは頑丈な世界貿易センタービルが一瞬で全倒壊した事は、多くの人に衝撃を与えました。鉄骨づくりの建物が熱に弱いことの一例です。

06
木は地木が一番良い

野菜や果物と同じように、木も育った土地の気候風土によって質が違います。
狭い日本の国土でも、北国と南国では育つ木が違います。ましてや外国で育った木が日本の気候風土に合うわけがありません。
ですから家づくりには国産の木を使うこと。欲をいえば、地木を使うのが一番です。昔は裏山で伐採された木を使って家を作ったものです。その土地で育った木は木材になっても傷みにくく、ゆっくりとその家になじんでいきます。

日本各地には、優れた地木がたくさんあります。都市部であってもその都道府県内を見渡せば、良材となる木が多くあります。例えば、埼玉なら埼玉県産の木を使うのが良いです。木材の地産地消にもつながり、それは結果的に地域の森林と林業を活性化させます。
地木を重視する。これが大切な事なのです。

07
やっぱり木の家が一番

住宅の工法にはそれぞれ特徴があり、その人の好みもあります。でも、私達はあえて在来工法による木造住宅の良さを強調したいと思います。その最大の理由は「自然素材の家」だからです。
「森林・生活に関する世論調査」(令和元年総理府広報室)によると、木造住宅に住みたい人は7割以上もいるというデータが出ています。日本人が木造住宅に住みたいというのは古来よりの帰巣本能ではないか、と思うのです。

「住宅を建てたり、買ったりするときに、どんな住宅を選びますか?」の質問についての回答

「47%:木造住宅(昔から日本にある在来工法のもの)」「26%:木質住宅(ツーバイフォーなど、日本の在来工法以外のもの)」「24%:非木造住宅(鉄筋、鉄骨、コンクリート造のもの)」「3%:わからない」
(令和元年度、内閣府調査より抜粋)